インタビュー
ビジネス系検定で実践力を養い、学びの足跡を形に残す
比治山大学短期大学部(広島県広島市)
必修・選択科目の指導内容とビジネス系検定を結びつける

比治山大学短期大学部総合生活デザイン学科では、就職に必要な実践力を養成し、「確実に役に立つ資格を、できるだけ多く取らせること」を目標に据えている。
学科主任の西村この実教授は、同短大に着任した9年前から担当するキャリア系の科目内で、ビジネス系検定の内容を指導してきた。
「知識を得ること、ロールプレーイングや実技を通して“できる“ようになること、”検定合格”の形で学びの足跡を残すこと。これらは学生のモチベーションを高め、充実した2年間にしてもらうために切り離すことができません」。
中でも、基礎になっているのは秘書検定だ。1年次前期「秘書実務」(必修)・1年次後期「ビジネス実務基礎」(必修)では秘書検定2級の内容を教えており、合否は問わないが、単位認定には検定試験の受験を必須としている。
2年次以降も、必修科目でビジネス実務マナー検定2級、選択科目でサービス接遇検定2級・準1級(準1級受験は任意)、ビジネス文書検定3級の内容を教える。
授業では問題を解かせるだけでなく、「なぜそのようにするのか」「相手はそれをどう受け止めるか」を説明し、先生自身が実演を交えて「社会人」としての姿を見せる。ビジネス系検定では秘書やさまざまな業種のサービススタッフ・ビジネスパーソンが描かれるが、「“社会人“として求められるマインドは共通している」と西村先生。領域を変えながら繰り返し教えることで、働くための心構えや行動が身に付いてくると言う。
(写真:総合生活デザイン学科主任の西村この実教授)
秘書検定でビジネスの世界に触れ、将来の自分の姿を形作る

西村ゼミに所属する2年生の桑野未由さん、湯浅穂乃花さん、大谷千星さん、藤本花鈴さん、佐々尾ゆずはさんは、全員1年生の11月に秘書検定2級に合格。入学後、西村先生が指導するビジネス系科目で秘書検定に触れた当初は知らないことばかりだった学生たちが、特に役に立ったと言うのは、やはり対面や電話などでの言葉遣いだ。数多く取り入れられているロールプレーイングの機会自体を、学生は新鮮に捉えている。
「以前は、丁寧に話そうと思うと言い方が分からなくて詰まってしまうことがありましたが、勉強してすっと言葉が出てくるようになりました。口に出す練習が授業中にたくさんあったおかげです」(桑野さん)。
「目上の人に対して丁寧に話したいときに、どのように言えばよいか知ることができました。以前より、きちんと敬語を使って話すことを意識するようになりました」(湯浅さん)。
「インターンシップや就職活動の際に、企業の方からの電話に落ち着いて対応できましたし、メールでの返信もレベルが上がったと思います。丁寧な文章が作成できるようになりました」(大谷さん)。
「将来役に立ちそうなのはもちろん、就職面接時にも自然にすらすらと敬語が出てきて電話でも丁寧に応対できるようになっていることを実感しました」(藤本さん)。
「アルバイトで電話応対に機会が多いのですが、最初はかけるのもかかってくるのも苦手でした。でも勉強したおかげでスムーズに応答できるようになりました。電話で気を付けているのは声のトーン。表情が見えないので、声だけで感じよくするよう心がけています」(佐々尾さん)。
先生の実演を見たときは「自分もできそうだ」と思うのに、実際にやってみると難しい」と学生たち。姿勢、しぐさ、表情、視線、声、言葉遣い、どこに注意すれば先生のようにできるのかを確認しながら練習することで、一歩ずつ理想の姿に近づいていくことができる。
来年には、卒業してそれぞれの道へ。短大での学びはどのように生かせるだろうか。
「授業で習ったことは、働くことに全部つながっていると思います。学んだことをスムーズに、当たり前にできるところまで、残りの学生活で磨いていきたいです」(佐々尾さん)。
残りの学生生活ではさらに自身のスキルに磨きをかけ、自立した大人になるための一歩を踏み出す。
(写真:(後列左から)湯浅穂乃花さん、大谷千星さん、桑野未由さん。(前列左から)藤本花鈴さん、佐々尾ゆずはさん。)
