ビジネスマナーへの理解と技能を高め、大人への一歩を踏み出す

帝塚山学院大学(大阪府堺市)

ビジネスマナーが身に付くだけでなく、成功体験の一つにもなる秘書検定

帝塚山学院大学キャリアセンターでは2022年度から、推奨資格の一つとして秘書検定(2級・準1級)を取り入れ、課外講座を開講している。
「コロナ禍においては学生が十分な学生生活を送ることができず、自己肯定感を高める機会も減少してしまいました。それを受けて、何か学生が自信を持てるような取り組みをつくりたいと考えました」と話すのは、キャリアセンター主査の浜本智也(はまもと ともや)さんだ。
 自主的に課外講座に参加して検定試験に合格すること自体が成功体験になる上、秘書検定ではビジネスマナーの向上も目指せる。6月の試験に向けて4月開講の2級講座には、2年生を中心に毎年40~50人が集まる。そして、2級に合格した学生の多くは、11月の試験に向けて9月開講の準1級講座にも引き続き意欲的に取り組んでいるという。
「秘書検定に挑戦した学生は、ビジネスマナーだけでなく、試験に向けての自己管理や計画性も身に付いたように見受けられます。また、秘書検定の合格をきっかけに『さらに別の資格にも挑戦したい』という学生も出てきました。ちょうどよい助走になっているようです」(浜本さん)。

(写真:キャリアセンター主査の浜本智也さん)

正しい言葉遣いや対応を理解し、行動に自信が持てるようになった

人間科学部食物栄養学科4年生の丹千明(たん ちあき)さん、心理学科4年生の鶫勝仁(つぐみ かつとよ)さんは、2年生のときに2級・準1級に合格した。
 「難しかったのはビジネス用語です。源泉徴収とか出向とか、耳になじみもなく、学生同士の会話では絶対出てこないので、とても難しく感じました」(丹さん)。
 「特に印象に残っているのはビジネス文書。そもそも形式の整った形で作成しなければならないものという認識すらなかったので、細かいルールがあることにとても驚きました」(鶫さん)。
 二人とも、2級の知識が頭に残っているうちにと、続けて準1級に挑戦。面接試験に向けて受けた対面指導がとても役立ったと話す。
「面接の練習で注意されたのは声の大きさ、話すスピード、手の所作や歩き方などです。飲食店のアルバイトもしているのですが、練習してからはお客さまから『所作がきれい』と褒めてもらうことも。教わったことは日常生活でも生きています」(丹さん)。
「僕は特に姿勢について、だんだん背中が丸くなってしまうので常に胸を張って堂々とするようにとアドバイスをもらいました。その後のインターンシップや就職面接でも、スーツ姿で姿勢がよくないと格好が悪いので、胸を張るように意識しました」(鶫さん)。
 さらに鶫さんは「準1級面接試験ではメンタル面で、ものすごく鍛えられた」と振り返る。
「公務員試験の面接は東京まで受けに行ったのですが、他大学の学生の中でも、まったく緊張せずに自分の力を出し切ることができました。2年生のうちに、めちゃくちゃ緊張する時間を準1級面接試験で経験したおかげだと思います」(鶫さん)。
 言葉遣いも応対も、正しいやり方を知っていれば自信が持てる。間違っていないかどうかに気を取られることなく、堂々と振る舞えるようになるのが、秘書検定の一番の成果だ。
「特に自信がついたのは電話応対。『お忙しいところ恐れ入りますが』『お手数をおかけしますが』などのクッション言葉もスムーズに使えるようになりました。就職後は目上の方との関わりが増えると思うので、丁寧なだけでなくしっかりと尊敬語と謙譲語も使い分けて、感じがよいと思ってもらえる話し方を磨いていきたいです」(丹さん)。
「今後は、行動での気遣いをさり気なくできるようになり、人としての魅力を高めていきたいと思っています」(鶫さん)。
 秘書検定で学んだことを生かし充実の学生生活を過ごした二人。学びを生かした社会人としての人生がこれから始まる。

(写真:右から 人間科学部食物栄養学科の丹千明さん、心理学科の鶫勝仁さん)

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